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私的台湾ノスタル 地竹田駅園 池上一郎博士文庫 台湾スタッフの里帰り編

台湾旅行の道中や何かの用で初めて足を踏み入れた際、特別な秘境や未開の地でもなく、台湾の人が普通に暮らしている土地だけど、いたるところでなぜか懐かしさを感じる土地。なんともいえないあのノスタルジア感…。そんな土地や空間に、私は誰にも通じない単語「ノスタル地(ジー)」…と命名して、誠に勝手にながら指定地化して遊んでいます。


これは以前ノマドニュースで掲載した「私的台湾ノスタル地写真館 No.01」の冒頭の言葉です。今から10年以上前に台湾ノマドに勤務していた日本人スタッフMr.Oは、台湾のどこか懐かしいノスタルジーな風景を「台湾ノスタル地(ジー)」と命名して、各地を回っていました。その話を聞いて現在、台湾で生活している私もカメラ片手に、台湾を街ブラしながら「ノスタル地」探しにハマっています。


台湾は今年5月から新型コロナの感染状況が悪化し、警戒レベルが三級へと引き上げられました。これにより、旅行はもちろんのこと、以前のように街歩きすらできなくなってしまいました。「台湾ノスタル地」の愛好家にはとても辛い現状です…。


今よりも感染状況が落ち着いていた4月に、清明節の連休を利用して竹田駅池上一郎博士文庫へ行ってきました。ここは「私的台湾ノスタル地 写真館 No.01」で紹介されたスポットで、ノスタル地の名付け親であるMr.Oが12年前に訪れた場所です。今回Mr.Oに代わって里帰り旅行をしてきました。


4月3日、正午ごろ竹田駅に降り立ちました。Mr.O が撮影した12年前の写真では竹田駅は地上にありますが、2015年に2階建ての高架駅に変わりました。少し離れた場所から駅を見ると、木造の旧駅舎の後方にそびえ立つ大きな高架駅が目立ちます。

画像:グーグルマップスクリーンショット


<グーグルマップでジャンプ!> クリックするとストリートビューが楽しめます!


現在の竹田駅はこんな感じ。連休のちょうど中日だったこともあり、観光客らしき人々がちらほら。

・現在の竹田駅


ちなみに12年前の駅はこんな感じ。現在の駅舎は看板など手入れがされているのがよくわかりますね。ホームも地上にあり、改札には駅員さんの姿も。

・12年前の竹田駅 

12年前は現役だった旧駅舎は、現在その役目を終えて当時の面影をそのまま残した資料館となっています。鉄道や駅舎の模型による簡単な展示、切符販売窓口の跡などを見ることができます。12年前と変わることなくあたたかい南国の風が駅舎の中を通り抜け、この場所だけ時間がゆっくりと進んでいるような、そんな気分になります。建物の色使い、置かれている小物などなんとも言えないレトロな雰囲気が、まさに台湾ノスタル地を感じます!

・竹田駅現在の駅舎内の様子

この旧駅舎は日本統治時代に建てられた日本式の木造建築を取り入れた駅舎です。屏東線は当時ほかにも歸來駅、麟洛駅、西勢駅、三塊厝駅が日本式の木造建築でしたが、当時の建物が残っているのは竹田駅のみとなっています。竹田駅は貴重な歴史的建造物として2019年に文化遺産に登録され、現在では人気の観光地となっています。


ちなみに他4駅の現在はというと、歸來駅と麟洛駅は長いホームだけの簡素な駅舎になってしまい、西勢駅もコンクリート造りの駅舎に変わってしまったそうです。三塊厝駅は1986年に一度廃駅となりましたが、2018年に再開業し、外観は旧駅舎を再現した日本式の木造建築を採用しています。実はたまたまこの時、三塊厝駅近くのホテルに泊まっていたので、朝この三塊厝駅から乗車して竹田駅に向かいました。

・三塊厝駅周辺には埋め立てられた鉄路跡と思しき道路が

・三塊厝駅

このように他の駅が最新式のコンクリート建築の駅舎に変わっていく中、竹田駅の旧駅舎だけは、屏東政府と地元の人々たちのたゆまぬ努力のおかげで、文化遺産として現存しているそうです。竹田駅旧駅舎とその周辺にある池上一郎博士文庫や李秀雲先生攝影紀念館、澡堂(下記風呂場跡)などを含めた一体を『竹田驛園』(竹田駅前パーク)と称して台湾鉄道の歴史を残す貴重な観光資源として守られています。

屏東縣政府竹田鄉公所 公式ページ:


旧駅舎から少し歩いた先に池上一郎博士文庫があります。

池上一郎博士は戦時中に軍医として、この地の野戦病院で軍人だけでなく村人の治療を行い、終戦後は台湾からの留学生支援や日台の交流に大きく貢献された人物です。池上氏が生前、竹田郷にご自身の蔵書を5千冊寄付されたことから、2001年に現地の人たちが感謝の意を込め文庫を開館しました。ここには日本語の古典から文学小説、漫画まであらゆるジャンルの書籍が所蔵されているそうです。


そんな日台交流の歴史を感じる建物の正面には、「亜細亜最南端の日文図書館」と書かれた看板のほかにも、池上一郎博士の名前が入った木彫りの立派な看板が並んでいます。

さっそく中に入ろうとしたら、なんと!扉が…閉まっている!?

残念ながら清明節の連休で休館日でした…下調べの重要性を痛感。

窓には今年行われた、池上一郎博士文庫20周年記念式典のポスターが、貼られていました。式典の参加者を出迎えるためにつくられたのか「心から皆様の里帰りを歓迎します」と日本語で書かれています。ここで様々な書籍に触れあった人たちにとって、池上一郎博士文庫は心のふるさとなのかもしれませんね。

中に入ることは叶いませんでしたが、外から室内の様子をみることは出来ました。はっきりとは見えなかったのですが、右手側の本棚はびっしりと蔵書で埋め尽くされ、扉と天井の間にある小壁には、戦闘機の模型や池上文庫の設立に携われた方々と思われる写真がずらりと並んでいました。


少し話は逸れますが、先日日本から台湾へワクチンの無償提供のニュースで「台日友好」がホットワードになっていましたね。政府レベルでの交流、台日友好も喜ばしいことです。ただ個人的にはこうやって池上博士のように歴史の教科書には載っていないけれども、個人レベルで戦後の台日友好に貢献されてきた人々に、もっともっとスポットライトが当たるようになれば良いなと思います。かくいう私もこの場所の存在と、池上博士のことはMr.Oのブログを読んで初めて知ったのですが…。

旧駅舎前の広場にはこんな跡地も。写真にある「澡堂」はいわゆる風呂場です。その昔、駅社員さんが寝泊まりする際にここでお風呂に入っていたそうです。井戸水を水道管から直接風呂場まで給水出来る仕組みで、井戸水を人力で運ぶ手間が省けることからマンパワーと時間の大幅なコストカットが可能となり、当時は画期的な風呂場だったようです(本当にすごかったのか、この風呂場を使っていた人に話を聞いてみたいです)


最後にMr.Oのブログの追伸でも登場していた「大和頓物所」で一休み。

精米工場をリノベーションしてた店内は、天井がガラス張りで至る所からあたたかい日差しが差し込む、とても居心地の良いカフェでした。

記事担当者台湾ノマドKより

せっかくの里帰り旅が私の下調べ不足によって不完全燃焼で終わってしまったので、また台湾で自由に旅ができるようになった際は、竹田駅周辺リベンジしたいと思います。それよりも早く、近場でもいいからまた台湾を街ブラしたい!ノスタル地ー散歩がしたい!というのが本音です…



写真で台湾!Instagramにて公開中

▼ノマド 台北女子社員日記

台湾勤務の台日スタッフが、日々の暮らしの中からディープな台湾を発信しています。


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