台湾 雨のことば
今年も梅雨の時期がやってきました。コロナもあっておうち時間は慣れたけれど、雨や曇りの日が続くと憂鬱な気分になりますよね。ですが、雨がよく降る地域柄、日本には雨に関す言葉がたくさんあるのをご存じでしょうか。白雨、時雨、菜種梅雨など先人たちが考えた表現の美しさを感じることができます。調べてみると少しだけ雨の日が楽しくなるので、ぜひお試しください。今回は同じく雨がよく降る台湾では、どんな言葉があるのか紹介したいと思います。
台湾の梅雨について
台湾の梅雨は例年5月下旬から始まり6月中旬まで続きます。ゲリラ豪雨のような強い雨が短時間に降るため、比較的晴れ間が多いのが特徴です。しかし、平均気温が30度以上あるため、雨が上がると非常に蒸し暑く感じます。日本の梅雨ような晴れ間が少なく、一日中どんよりした曇り空や雨が長く降り続くイメージとはちょっと違います。
雨の種類を表すことば
春雨(chūn yǔ)チュンユー
2月から4月の間に降る雨のことをいいます。春雨は花々の成長を促す恵みの雨で、日本語だと催花雨が当てはまります。
絲雨(sī yǔ)シーユー
シルクのような細い雨のことをいいます。日本語にも糸のように細かい雨を糸雨(しう)と呼びます。
毛毛雨(máo máo yǔ)マオマオユー
細くて密度が高い雨。絲雨と似ていますが毛毛雨の方がよく使う言葉です。
飛雨(fēi yǔ)フェイユー
風まじりの激しい雨のことをいいます。日本語でもこのような雨を飛雨(ひう)と呼びます。
滂沱大雨(pāng tuó dà yǔ)パントゥダユー
土砂降りの非常に激しい雨のことをいいます。滂沱は日本語でも、雨の降りしきるさま。涙がとめどなく流れるさまという意味があります。
濛濛細雨(méng méng xì yǔ)メンメンシユー
目の前がはっきり見えないくらい細かな霧雨のことをいいます。
雨にまつわることわざ
屋漏偏逢連夜雨(wū lòu piān féng lián yè yǔ)
屋根が壊れたときよりにもよって雨が降ってきた。
悪いことが次から次へと重なるたとえです。日本の「泣きっ面に蜂」と同じ意味ですね。屋根が壊れるだけでも一大事なのに、そのうえ雨が降るなんて!!なかなかショックが大きいシチュエーションです。
天要落雨,娘要嫁人(tiān yào luò yǔ niáng yào jià rén)
雨はいつか降る、かわいい娘はいつか結婚する。
必ず起こることは避けられないたとえです。このことわざは、不満なことが起きても「まあ、しょうがないよね」と気持ちを切り替える前向きな意味を持っています。大切な日に雨が降っても、そのことを責めることはできませんよね。娘がお嫁に行ってしまうのもさみしいですが、おめでたいこと。どちらも前向きに捉えられる絶妙なたとえですね。
未雨綢繆(wèi yǔ chou móu)
雨が降る前に家の修理を済ませておく。
事前の準備や計画の大切さを例えています。
風調雨順(fēng diào yǔ shùn)
風と雨がほど良く降っている。
台湾のお寺では、新年になるとあちこちで今年一年の運勢を占う習慣があります。「風調雨順」はその年の農作物の出来を占うときに使われる言葉です。ほど良い風と雨は、台風や豪雨の被害が少ないことを表し、このような年は豊作になること意味しています。
台湾語のことわざ
最後は台湾語の紹介です!台湾の気候風土がよくわかる3つのことわざを紹介します。台湾語の発音でレッツチャレンジ!
不驚七月鬼,上驚七月水(ンーギャッチグェグイ、ションギャーチッグェツィ)
旧暦七月に出る幽霊より、大雨と台風の方が怖い。台湾のお盆は、旧暦7月1月~31日と日本よりも長く、この1ヵ月間を鬼月と呼んでいます。お盆期間は、あの世からご先祖様だけでなく、悪い霊も戻ってくると言われています。悪い霊に憑りつかれないように、この期間はおとなしく過ごすなど様々な決まりがあります(その話はまたどこかで…)。そんな悪い霊よりも恐れられていたのが、大雨と台風です。秋の収穫に向けて大切に育てている農作物への被害が何よりも恐れられているのがよくわかります。
九月雨,貴若油 (ガウグェホー、グイナイユー)
旧暦九月の雨は油のように高い。9月の雨は大変貴重であることを表しています。台湾は一年中雨がよく降り、湿度が高いイメージを持たれる方も多いと思いますが、台風シーズンが過ぎると冬の乾燥シーズンが始まります。日本と同じく乾燥対策が欠かせません!
暮看西北烏,半暝起風雨(ボックァサイッバッオー、ボァーメイキーホンホー)
夕方の西北方向に暗い雲を見つけたら、夜中に雨風が降る。暮看西北烏の「鳥 からす」は暗い雲のことを表しています。
記事担当者:台湾ノマドMより
台湾の雨にまつわる言葉を調べてみたら、意外にも同じ漢字で同じ意味を持つ日本語が多くあることが分かりました、改めて台湾の日本の絆(親しみさ)を感じました。お化けよりも台風の方が怖いということわざも、勢力の強い台風がたくさん通過する台湾ならではの言葉だと思いました。
台湾は一足先に梅雨が明けて、夏の暑さがやって来ました。コロナの影響もありしばらくは暑さに耐えながらのマスク生活が続きますが、皆さんもどうぞ体調にお気を付けください。
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▼ノマド 台北女子社員日記
台湾勤務の台日スタッフが、日々の暮らしの中からディープな台湾を発信しています。
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